疲労回復によいと言われるクエン酸、そのメカニズムは何なのでしょうか。
実は「クエン酸が直接クエン酸回路に入ってエネルギーとなる」とは考えにくいのです。
細胞質のクエン酸がミトコンドリアに入るトランスポーターは未だ確認されていません(逆に出るものは明白に存在します)。
では、何が起こっているのでしょうか。
「クエン酸の投与により血中乳酸が低下する」ことは実験でわかっています。
運動で生ずる乳酸による体液の酸性化を防ぐのです。
意味がわからないと思いますが、この仕組みとして考えられるのはこうです。
PFKの阻害、およびCPTの阻害、さらにPDCの活性化。
要するに糖の利用も脂肪の利用も制限することで、「乳酸を優先的にエネルギーとして利用する」ように代謝を変化させていると考えられるのです。
トレーニング時には大量の乳酸が生成されます。
運動の際にクエン酸を摂取することは、疲労回復の点から推奨できると思われます。
また、酸味による刺激がプロテインの消化吸収を高めてくれることも期待できますね。
文:サカト(森田健司)栄養学・人体実験オタクのバイオハッカー。自身の体質改善をきっかけに人体にハマり、現在は栄養指導・記事執筆・オンラインサロン運営などを仕事としている。年中ケトーシス(糖質をあまり食べない)のケトン人。
参考:『クエン酸もしくはレモン果汁摂取による 運動後の血中乳酸消去の促進』名古屋工業大学共通講座健康運動科学 教授 下村 吉治