もっと小ロットでのオリジナルプロテイン製造ができないものかと思案していたところ、知人の紹介である工場を紹介してもらいました。そこは20年以上、お豆腐や油揚げなど、大豆食品を製造している工場でした。工場と言っても、大型機械を運用するのではなく、なるべく手作りにこだわっている工場です。
工場長と話をすると、プロテインの製造について色々と調べてくれ、実は50㎏程度から作れることが分かりました。3トンから見れば、実に1/60のサイズです。なぜそんなことが可能なのか?
この違いは製造方法にあります。これまでのプロテイン工場ですと、大型の機械を動かし、複数の品種(プロテイン以外も作っている)を数か月前から計画を立て、かなり緻密に段取りして製造します。そこにかかる人的、機械的なコストを考えたら、3トンくらいを受注しないと、とてもビジネスとして成立しないのです。しかしこの産業構造は顧客には関係のない話です。いくつかのプロテイン製造工場と話をさせてもらいましたが、印象としては、食品業界(プロテインも食品分類)では、昔から客が業界側に合わせるのが当たり前と言う古い慣習があります。
そこに大きな疑問を感じました。私が20年近く前にパーソナルトレーナーとして活動を始めたときと同じ疑問です。当時は大型フィットネスクラブしかありませんでしたが、インストラクターと呼ばれるアルバイトは何の知識も経験もなく、マニュアルを読んでポロシャツを着ただけでトレーナー気取り。そして会員さんは、それぞれ個別性があるのに、クラブのプログラムに従って言う通りに運動すればいい、あまり細かいこと質問しないでみたいな雰囲気がありました(ちなみに私は、それが間違っていると思ったので、まだ日本にパーソナルトレーナーがいない時期から独立したのです)。
それと同じような産業構造です。業界側の都合でお客様に負担をかけている。そこから一念発起し、先の工場とプロテイン原料の輸入や製造について勉強し、同業者の助けもあり、何とか小ロットのプロテイン工場を作ることができました。